ラノベやなろう小説の異世界について



この一昨日のツイートですが、異世界設定のどこまでをお約束と許容して、どこからを劣化コピーなどと拒絶するかの「線引き」が都合良すぎるのではないかなあ、と思って書きました。
我ながら頭イってるツイートだと思います。
生物が繁栄しておらず、岩石の大地でもなく、人間もいない。そういう作品もあるのでしょうが、読んだ事がまだないので、完全に僕の脳内にしか存在しない架空の殴り棒です。
当然画一化論をしてる人の言うオリジナリティのある異世界が舞台の作品を馬鹿にする気は全くありません。念の為。
齟齬がいっぱい発生したと思うのでこれから長文で齟齬を加速させようと思います。

先のツイートで言いたかったことは、
地球と似たような環境と異世界の人類は物語を面白くするために必要だというのなら、それはドラゴンやエルフや魔法も同じことだと言うことです。

そもそもラノベやなろうの異世界ファンタジーの異世界が画一化してるという論そのものには、本当か?という感じですが、それは置いといて、確かにドラゴンやエルフやオークやドワーフやゴブリンが登場するヨーロッパ風の剣と魔法の異世界である作品もあります。その作品のそのような異世界についてはそうである事にしっかり意味があると思っています。

それは剣と魔法の異世界に対する対照実験というものです。剣と魔法の異世界に対して何か他の要素を掛け合わせ巡り合わせ、どうなるかという事。それを効果的に見せるためには、世界設定は寧ろある程度万人が思い浮かべるような異世界であることが必要になってくるだろうと思っています。

勿論そうでない場合もあるでしょう。他とは違う異世界にすることで作品のテーマに効果的に作用させるというパターン。テーマに合わせて世界が考えられたりするので、ある程度特殊な異世界が出来る。しかし、テンプレと揶揄されるような似たような異世界でも、そのようにする意味はちゃんとあるということです。対照実験という観点以外にもです。

あのツイートを見て「人間じゃなく全く別の生命体がいたりいなかったりするそんなヘンテコな異世界にして一体どうするんだ」と思ってくれたのなら幸いです。
同じように「ドラゴンやエルフや魔法が登場しない異世界にしてそれがその作品とそのテーマに対して一体どのようなメリットがあるのか」というところまで思い至って頂けたのならもはや何も言うことはありません。

何かテーマやメッセージを伝えるために、書きたいものを書くために異世界の設定を考えるのなら、それが既存のものである必要がある場合も、そうでない必要がある場合もあり、想像力の欠如という批判の仕方は少し違うのではないかなと思う次第です。

ここから蛇足です。

「異世界はもっと多様なはずだ」とか「リアリティがない」については、自分は以下のように勝手に解釈しています。

・この物語の主人公がたまたまそのような異世界に飛ばされただけ。
偶然ということです。裏には数多のいろいろな異世界に飛ばされた人も数え切れないほどいたかもしれない。転生先の生き物が言葉の通じないでっかいナメクジしかいなかったり、そもそも生き物がいなかったり、人体が耐えられない環境で一瞬で蒸発したり、ただの宇宙空間(異世界にも宇宙や惑星があるとして)に放り出されたり……。でもこの物語が焦点を当てて綴るのはそういうドラゴンやエルフや魔法が有るザ・ファンタジーな異世界に転生・転移もしくはそこで産まれた主人公なんだ、といった感じです。

・現実と似たような世界だからこそ転生・転移することが出来た。
よりかけ離れた状態に遷移するときほど大きなエネルギーが必要なのはこの世界では一般的なことだと思います。エセ理系が言うのですから間違いありません。それが仮に世界間の遷移にも適用されるとするなら、そこまでかけ離れた異世界へ転生・転移するにはより大きなエネルギーが必要になり、現実と近い異世界の方が比較的遷移が容易なのだろうなあうんと予想できます。
ドラゴンやエルフや魔法なんて現実にはないしかけ離れているじゃないかという意見についてはもっともだと思います。なので当然この話は異世界転移前提の話で「人間が生きていける環境」だったり、「人間がいる」レベルのことを補強する話でしかありません。「ファンタジー生物や魔法要素抜きにしたヨーロッパ風の世界」というところもでしょうか。

・転生だから。
人間の意識や記憶が新しい生命に宿るとき、その肉体も人間であるほうが自然に感じます。似たような脳の構造と身体とを持つほうがありえそう、という感じです。勿論スライムやオークやクモに転生する作品もありますし、その作品の場合は転生先は生き物ならなんでもアリなんでは?と思ったりもしますが……。
多少大気組成や重力やその他もろもろが違っても、転生だとメイドイン異世界の身体なので不都合はありません。言語も一から習得することが出来ますし、皮肉でもなんでもなく転生という手法は良く出来てるなと思っています。
話が逸れましたが、人間が人間として転生した時点でその異世界は人間が住むことが出来る、もっと言えば人間が生まれる環境である可能性が高い訳です。収斂進化という言葉は便利ですがあまり詳しくは知りません。でもそんな感じじゃないかなとなんとなく納得してます。

僕はヘンテコな異世界は大好きです。
こういう時に思い浮かべるのはミュレファの世界です。三部作の一作目「黄金の羅針盤」だけ映画化された「ライラの冒険シリーズ」…それに登場するそのミュレファの世界は、ミュレファ(ザリフ)というおかしな生き物がおり、「もし実際に異世界なんてものに行けたとしたらこんな感じなんだろうなあ」と読んでてワクワクしました。それが忘れられません。これだってはっきり言って岩石の大地でしょうし生物が繁栄しているのですが。
自分にとってはヘンテコな異世界はそれだけでも面白い。テーマなんて関係なく「知らないものを知る」という事はワクワクさせる大きな要因です。知らないからこそ、沢山の情報を集めようと、さらによく考えて把握しようとして脳が沢山の酸素を必要とする。なので血を早く巡らせようと、鼓動が早くなります。エセ理系が考える仕組みです。これが所謂センスオブワンダーというやつなのでしょうか。違うか。

でもヘンテコじゃない異世界だってめっちゃ面白いと思ってます。
だって異世界で居酒屋やコンビニ開店するんですよ。モンスターになっちゃったり、小さい頃から自分に魔法の英才教育施したりして強くなったり、よくあるファンタジーの生き物を料理して食べたり(ここであなたはダンジョン飯を思い浮かべる)、この掛け算によって一体何が起こるのか、とっても面白そうとは思いませんか?

正直、その作品の異世界がどうあるかとその作品が面白いかつまらないかはあまり関係ないと思います。寧ろ読む方がどういう人生を歩みどのような価値観を持っているかでどこで面白く感じるかもつまらなく感じるかも様々です。
僕は面白いと思う人が一人でもそこにいるのなら、実際にそれには面白いところがあるのだろうと思って作品に接しています。どこが面白いのか探しながら読む。成功も失敗もします。でも、そっちの方がなんか楽しくないでしょうか?
僕は同性愛者ではありませんが男の体の魅力というものはわかるつもりです。ナイスミドルな職場の人の隣にいるとき常にドキドキしてますし。つまりそういうことなのでしょうね。

僕のした例のツイートは、「こんなことツイートして良いんかな……よくない気がする……もっと推敲せねば……あれこんなところに投稿ボタンが……ああっ!手が滑って!」みたいな感じで、自分でもどうかなと思うところはありつつ投稿してしまってます。ギルティですね。この記事もなんだこれと思いながらiPhoneのメモ帳に書き殴ってます。よくないよくないと思いつつも、投稿してしまう。僕の悪い癖です。でもドキドキするんですよね。特に批判的なコメントがついたりすると。僕はMじゃないんですけどね。何書いてるんでしょうね。こんな気持ち悪い長文完全に滑ってるし削除だ削除。あれ、こんなところに投稿ボタンが。